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おー、はじめて

Canzone di Lunaの短編です。
ちょっとシリアス? 零崎時代とちょっと混合的な。



 世界は血だけが全てだった。
 紅くない場所なんてない。血で染まっていない場所は染め上げて、その染めた死体を晒す。見せしめだ、当たり前の事だろう。殺し名第三位にして殺人鬼の零崎一賊に手を出した愚か者。死んで当然だ。むしろ死ぬだけで済んだ事を感謝して欲しい。
「あかいね」
 紅く染まった自分の手を見下ろして、長い黒髪を風になびかせて少女は呟く。傍らの黒狼は、はたりと悲しげに尻尾を揺らすだけだった。

―イミジキ場所で―

「××ー」
 唯一付き従う者として慕う、沢田 綱吉の声をきき少女はぼんやりと目を覚ます。嫌な夢を見ていたような気がするが、あまり覚えてはいなかった。
「××、何してんのさ。授業終わったぞ」
「へ? もう?」
 言われて時計を見ると、針は見事に放課後の時刻を指している。いつもサボっても終礼だけは顔出すのにな、とうまく起きれなかったことを後悔しながら××はまだぼんやりとしている頭を軽く振ってしゃんとしようとするが意味はなかった。
「眠いの?」
 問われて少し考えてからこくん、と頷く。眠い。ひたすら眠い。
 夢見が悪かった為か眠る気にはならないのに眠い。体は眠る事を望んでいるが心は眠りたくないといっているちぐはぐさ。悪夢は嫌いだ。だって出てくるのは自分が殺した者達ばかりなのだから。
「寝ればいいのに」
「やだ」
 小さな弱々しい否定に何を感じたのか、ツナは難しい顔をしてぽんぽんと××の頭を撫でる。子供扱いされているようで気に入らなかったが、ツナだからいいか、と思いなおして目を閉じた。このまま寝てしまいたい。ツナの傍なら、悪夢も見ない気がする。
「なんかさ、今日記念日だったりするの?」
 ツナの言葉に過去の記憶を思い返す。あまり記憶力はよくないが、記憶の棚をひっくり返し続けて数分。ようやく、××は答えに辿り着いた。
「レン兄が、死んだ日」
 レン兄、というのは零崎 双識という××が兄と認めていた零崎の一人である。自殺志願と書きレンデルマインドと読む大きな鋏のようなものを武器にしていた為に二つ名もそれ。その名前からレン、というあだ名が付けられておりそれを××は真似してレン兄、と呼んでいたのだ。
 誰か、かは分からなかっただろうが、××にとって大切だった人なんだろうというのはツナにも分かった。だから、そっか、としか返せなかった。もっと気の利いた言葉を言えればよかったのに、とも思うが自分のボキャブラリーの中にそんなものはない。少し本を読もうか、とツナは思った。
「忘れてた」
「大切な人だったんだろ?」
「零崎には死を悼むって考え自体ないから」
 そんな考えをもっているのなら、誰も殺人鬼などにはならなかっただろう。理不尽な死を無差別に与えるような存在には。
 死は悲しいものだ。哀しいものだ。だけれど、その考えを××はいろんな人に出会うまで知らなかった。知れるような環境ではなかったというのもある。両親は普通の人だったけれど、迷惑をかけないようにと滅多に会わなかったのでそういう事を教えてはもらえなかった。
「じゃあ」
 ツナが少し怒ったように、××を見た。
「なんでそんなに泣きそうな顔してんだよ」
 言われて目を瞬く。そんな顔を、自分はしているのだろうか。泣く事も知らない、この殺人鬼の自分がそんな顔を。
「泣き方なんて、あたし知らないよ」
 だから泣きそうな顔をする訳がない。
 そう言うと××ってたまにバカだよね、と言われた。いつもバカのツナに言われたくないとふくれたが多分成績の問題ではないのだろう。まだ、自分が知らない分野でツナは何かを言っているのだ。
「オレが教えてあげるよ、泣き方。
 どうやって教えればいいのかなんてわかんないけどさ」
 ふにゃり、と××は笑う。泣けるのだろうか。兄達が死んでも泣かなかった自分が、本当に。泣けるのだろうか。そうなればいい。ちょっと遅すぎる涙だけど、あの哀しい人達に捧げたかった。
「眠い」
「寝ればいいじゃん」
「膝枕してー」
 返事も待たずに××はツナの膝に頭をのせる。
 抗議してみるものの、それはすぐに聞こえてきた寝息に消えていく。溜め息をついて、ツナは苦笑を漏らす。悪夢を見ていたのか、うなされていた少女。今は安らかな夢なのか、寝顔はとても柔らかいものだ。
「いい天気だなー」
 今日は快晴。雲もほとんどない、澄んだ空が頭上には広がっていた。


 以上。短編。
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Author:冬弥
物書き。気楽にやってます。
基本放置してる生存確認用。Twitter見る方が息はわかる。

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